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八月のある日。

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夕方、散歩にでる。
歩いたり、走ったり、空を見上げたり。

何を考えるでもなく、独り言を呟く。
「美しいものを、持て余すのは、罪ですか?」

風が肌をすべり、ヒグラシの声が降り注ぐ。
標高数百メートルの山が、気高く見える。

「罪ではないですよ。内なる自然です。」

ひかれたまむしが、ひからびてる。
汗をかぎつけたヤブ蚊が、隙を伺ってる。

「満天の星空のもと、眠りについた日を、覚えてますか。」

息づかいが、はっきり聞こえてきた。
色濃くなった夜に、溶け込んで行く。

「隙だらけのあなたが、魅力的なんです。」

こんな呟きを、風船にのせて、舞い上げる。
あの人に、届くだろうか。

2015・8・23















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by 17444432 | 2015-08-23 20:59 | 日常 | Trackback | Comments(0)

名前。

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吾輩の名前は、昇太である。
同居人が勝手につけたのである。

彼は吾輩の事を、「ノボきち君」とか「のぼさん」とか、いろんな呼び方で話しかけてくるんだ。
まぁ、呼ばれれば面倒くさいなぁと思いながらも、時々「なんだよ〜?」と振り返ったりもする。

ノボ吉はお腹が減ると、「飯の用意をしろ!」と話しかけてくる。
僕とは対等と思っているから、なかなかでかい態度をとる。

僕が彼の名前を呼ぶようになってから、そろそろ7、8年たつのかな。
いろんな呼び方が生まれてしまったのは、愛情の裏返しなんだなぁと思っている。

最近久しぶりに、何て呼ぼうか考える事があった。
新しく作った器の名前をどうするか?
なかなかいいアイデアが浮かばなかったけど、何か生まれる感じがした。

「太郎」とか「一郎」みたいな聞き慣れてはいるけれど、古風な感じ。
気配を消して、見慣れた風景に溶け込む、希薄な存在を表す名前にしたかった。

夕方、降り始めた雨が、かき消してしまう前に鉛筆で書き留めた。
「墨手飯碗」

ノボ吉が飯碗を枕に眠ってる。
どんな夢を見ているのやら。

2015・8・19















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by 17444432 | 2015-08-19 21:23 | 日常 | Trackback | Comments(0)

八月のある日。

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暑い日が続く。

こんなに暑さに弱かったのかと、驚いて
日に何度も、両手で水をすくい、顔を洗う

井戸の水で生活をしているから、雨が降れば恵みの水だなと思う。
そんな大切な水を、両手ですくっても、隙間からこぼれ落ちてゆく。

こぼれ落ちた手のひらに、茶碗を一つ。
人は、いつの日からか茶道と称して、旅を始めた。

その道すがら、見立てと称して、道草を食う。
見立てる事の、豊かさ、美しさ。

水がこぼれ落ち、何も無くなった両手の中に、透明な碗を見つける。
そして、利休がその碗に茶を点てる。

透明な碗を、茶碗に見立てる。
その瞬間から茶道の所作が、想像を孕んだダンスになって行く。

2015・8・7













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by 17444432 | 2015-08-07 22:18 | 日常 | Trackback | Comments(0)